【第135回】Several Fables_Ⅱ「Let That Be Your Last Battlefield」/地球の内戦(Civil War)と外部からの脅威―The U.S.|Israel|China―
⇧4つの肌の色から構成される惑星と外部の脅威
※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。
(執筆中)
20世紀に勃発した二度の世界大戦の後も世界に恒久平和が訪れる兆しはない。21世紀の現在に至るまで、国家の大小や武装組織を問わず、戦争・紛争などの軍事行動が絶えず繰り返されている。その大義(原因)としては今日では一般的に Ideology(民主主義体制 × 権威主義体制)や宗教(キリスト教 × 他宗教)などに起因する相違・対立が挙げられる。しかし人間が引き起こす軍事行動(暴力)の根底(真因)には、人種・民族や肌の色の相違・対立といった生物学的な要素が潜む。一方、ある生物集団の「外部」に強大な「脅威」が出現する時、内部集団は「共通の敵」に対して一致団結する行動をとるのもまた真理である。世界の戦争・紛争を地球人同士の「内戦」(Civil War)と捉えれば、「地球外生命体」(宇宙人)の存在や視点への刮目が一つの打開策となりうる。
この「肌の色」と「外部脅威」といった題材を象徴的に描写したものに、23世紀前後の宇宙を舞台にした米国 TV ドラマ『スタートレック』シリーズ(Star Trek series)がある。同作品第一シリーズのエピソードの一つ『Let That Be Your Last Battlefield』(邦題:惑星セロンの対立) A Look Back at Star Trek: The Original Series' 'Let That Be Your Last Battlefield' は次のような寓話(Fable)である。地球(惑星連邦)の宇宙船「U.S.S.Enterprise」が、ある惑星基地から盗まれたというシャトルクラフトを収容する。その中には顔の色が左右半々で黒と白の異星人、惑星「Cheron」の Lokai が乗っていた。彼は革命家で政治犯であった。やがて同じ惑星の反政府活動局長 Bele と名乗る者が Lokai の身柄を引き渡すよう要求してくる。彼の星では左側が黒く右側が白い人種は、右側が黒く左側が白い人種に劣る劣等種族とされ人権侵害を受けていた。そうした顔の配色(白黒)の違いという些細な理由で彼らは激しく憎み合っていた。Bele は Lokai を五千年の長きにわたり追跡してきたという。しかし地球人の艦長や乗組員の目から見れば彼ら二人は同じ種族であり、取るに足らぬ愚かな争いとしか映らないというものである。本エピソードの放送は今からおよそ60年前の1969年であった。現在の世界はこの寓話から何も知得していないかのようである。
この寓話に関連する説話がある。かつて米国の Ronald Reagan大統領は、第42回国連総会(1987年9月21日)の一般討論演説で、人類の連帯や冷戦下の対立解消を訴える文脈で、「宇宙人(Alien)の脅威」と「人類の結束」について言及している。 Address to the 42d Session of the United Nations General Assembly in New York, New York | Ronald Reagan 演説終盤(下記動画:29分頃)における当該内容は次の通りである。(下線筆者)
In our obsession with antagonisms of the moment, we often forget how much unites all the members of humanity. Perhaps we need some outside, universal threat to make us recognize this common bond. I occasionally think how quickly our differences worldwide would vanish if we were facing an alien threat from outside this world.
私たちが目前の対立にとらわれている時、人類の全メンバーをいかに多くのものが結びつけているかを忘れがちです。おそらく、この共通の絆を私たちが認識するためには、宇宙の外からの何らかの普遍的な脅威が必要なのだろうと思います。地球の外からの宇宙人の脅威に直面したとき、世界中の私たちの相違がいかに早く消え去ることか、私は時々考えてしまいます。
保守政治家の石原慎太郎氏はかつて、その公式ウェブサイト 歴史の蓋然性について ー白人世界支配は終わったー|コラム|石原慎太郎公式サイト | 宣戦布告.net 上で、大航海時代における根底的かつ歴史的事実を痛烈に問うている。(抜粋、下線筆者)
暗黒の時代といわれた中世紀には主にはヨーロッパが獲得した三つの新しい技術、火薬、印刷術、そしてアラブ人から伝授された大洋を渡る航海技術によって終焉しました。新しい文明の所産である新しい技術が古い文明を駆逐してしまうという歴史の力学を世界中で展開したのです。その典型はスペイン人が持ち込んだわずか三丁の鉄砲があの古くて由緒あるインカ大帝国をあっという間に滅してしまったという歴史の悲劇にうかがえます。そしてその悲劇はイスラム教徒を含む他の殆どの有色民族に及んだのです。それこそが中世紀以後人間の歴史の本流の姿に他なりません。つまり中世期以後の歴史の本流はキリスト教圏の白人、つまりヨーロッパの白人による、他のほとんど全ての有色人種の土地への一方的な侵略と植民地化と収奪による白人の繁栄の歴史でした。アフリカや中東、或いは東南アジアの全ての地域は西欧諸国の進出によって国境は区分され植民地化され一方的な隷属を強いられてきたのです。それはまぎれもない事実であり歴史における現実でした。バチカンに関する資料にもありますが過去のある時点でキリスト教の本山のバチカンで白人以外の有色人種は人間か動物かという議論が本気でなされたとこもある。ある法王は彼等がキリスト教に改めたら人間とみなすと宣言したそうな。またある法王は世界中の未開地を白人の領地として線引きしました。それによるとこの日本は近畿地方から北はスペイン南の部分はポルトガルのものとすると勝手に国境の線引をしています。白人の奢りもいいとこだ。
氏はまた、18世紀後半の、新大陸における白人中心国家・米国の成立における根底的かつ歴史的事実を痛烈に問うている。(抜粋、下線筆者)
今日声高に人権と民主主義を説いているアメリカもまたあの厖大なアメリカ大陸を、原住民だったアメリカインディアンを殺戮駆逐することで領有し国家として成立したのです。アメリカ大陸の東西を結ぶ大陸横断鉄道は白人たちが一方的に拉致してきて鉄道建設のために働かせた厖大な数のシナ人奴隷によって建設されたのです。
同氏はまた、日米貿易摩擦の最中(さなか)であった1989年(平成元年)に『「NO」と言える日本』を著し(共著)大きな話題を呼んだ。その中で、米国が日本に対してもつ人種偏見について言及している。(抜粋、下線筆者)
アメリカ人の人種偏見というのは、自国文化の自負に根を発しているわけで、確かにアメリカ人も含めたホワイトが近代をつくってきた、という自負はわかります。だが、その自負が強烈すぎてアメリカ自身、新興国だから、他国文化、とくにアジアへの視点に曇りがあるのではないか。
なお石原氏の歴史認識や欧米史観に相通ずるものとして、安倍晋三内閣総理大臣の未公開の肉声を収録した『安倍晋三 回顧録』の第5章「歴史認識」において、「キーワード網羅した戦後70年談話」と題した一節がある。ここで安倍氏の歴史観、欧米史観が極めて明確に示されている。その中で幾つか述べられた特筆すべき氏の言を以下に引用する。 (抜粋・下線・括弧内筆者)
村山談話(50年談話)の間違いは、善悪の基準に立って、日本が犯罪を犯したという前提で謝罪をしていることです。日本という国だけを見て、すみません、ということなのです。では、当時の世界はどうだったのか、という視点がすっぽり抜けている。70年談話は、日本は国際社会の潮流を見誤ったという、政策的な現状認識の誤りに基づいているのです。ここが決定的に違う。さらに、時間軸を100年前まで戻し、ここから未来に向けてどうしていくか、という視点を入れたのです。
村山談話は、日本だけが植民地支配をしたかのごとく書かれている。戦前は、欧米各国も植民地支配をしていたでしょう。人種差別が当たり前の時代、アフリカで残虐なことをしていた国もある。ベルギーの国王が、残虐行為をしたとしてコンゴ共和国に謝罪したのは、(ごく最近の)2020年ですよ。日本は過去、繰り返し中国や韓国、東南アジアに謝罪し、政府開発援助(ODA)などを通して実質的に賠償までしてきたでしょう。
19年のフランス・ビアリッツでのG7サミットで、ロシアによるクリミア半島の併合問題を議論している時、ある首脳が「クリミアを侵略したという一点をもって、ロシアを非難しなければならない」と言ったのです。これにボリス・ジョンソン英首相は反対しました。ジョンソンは「侵略という言葉を軽々に使わないでほしい。英国は歴史上、今の世界の4分の1の国を侵略したんだ」と言っていました。歴史学者のジョンソンはさすがですよ。
なお筆者の認識では、この植民地支配側の対象からドイツ(およびドイツ系米国人)を除外したい。ドイツは神聖ローマ帝国(独:Heiliges Römisches Reich)(※1)の系譜を継ぐ、長い歴史を有する極めて卓越した民族・大国といえる。にもかかわらず、日本同様に領邦国家(独:Territorium)(※2)の権限が強かったため、中央集権体制と統一国家の形成が遅れた(19世紀後半)。そうした歴史の綾から、対外的な(有色人種の土地への)植民地獲得の動きは他の欧米諸国と比して極めて小さかったといえる。また20世紀に入っても、「帝国主義の先発国」対「後発国」の構図となった第一次世界大戦での敗戦に続き、第二次世界大戦における敗戦国として、これまた日本同様に、戦勝国(連合国)から Nuremberg 裁判において、一方的かつ徹底的に裁かれる立場にあった。あたかも出る杭が打たれるが如く、その卓越性故に国力を削がれたのである。剰え(あまつさえ)、米国・英国・フランス・ソビエト連邦の4ヶ国による「分割統治」と、この後生じた Ideology 陣営対立(自由主義社会 × 社会主義社会)の煽りを受け、1989年まで長らく続いた「東西分断」の悲劇を被っている。
(※1)神聖ローマ帝国:962年に「オットー1世」(独:Otto I)がローマ教皇から戴冠を受けドイツ王国を基盤に成立した帝国の呼称
(※2)領邦国家:皇帝権から独立して領邦内の主権を行使した三百有余の部分国家的な諸侯領
※参考文献
松原久子(ドイツ語原著)、田中敏(訳)『』、文藝春秋、2005年
三谷郁也『白人侵略 最後の獲物は日本 ─なぜ征服されなかったのか 一気に読める500年通史』、ハート出版、2021年
石原慎太郎『「NO」と言える日本:新日米関係の方策』、光文社、1989年
安倍晋三(著)・橋本五郎(聞き手)・尾山宏(聞き手・構成)・北村滋(監修)『安倍晋三 回顧録』、中央公論新社、2023年






