株式会社有田アセットマネジメント|知的財産(無形資産)と伝統的価値観を次代へ継承

06-6131-7514 9:00 ~ 18:00(平日)

お問い合わせはこちら

時論

軍事・外交 政治・公共 経済・産業 科学・技術 哲学・思想

【第135回】Several Fables_Ⅰ「イカロスの翼」(2/2)/新興技術(Emerging Technologies)依存の果て―AI|Humanoid Robot|Drone―

※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。

①現実化しつつある AI の暴走・悪用(Bill Gates 氏の警鐘)

(執筆中)

2026年の夏以降、複数社の米国企業開発による AI モデルの引き起こした暴走事例が散見され出した。こうした中、Technology 業界内では  Anthropic(CEO:Dario Amodei)  Home \ Anthropic や OpenAI(CEO:Samuel Harris Altman) OpenAI | 研究と実用化 など、開発企業同士が独自の安全基準を設ける自主規制の動きが出始めている。一方、Microsoft の共同創業者 Bill Gates 氏は、2026年9月25日公開の米国 NBC テレビのインタビューで、AI は「10億人の死者を出すような事態を引き起こすのに十分な力を持っている」と強い危機感を表明し、AI 開発の減速に向けた法規制を訴えた。同氏は「AI は人類がこれまで接してきた中で最も危険なものだ」とし、「悪意を持つ人間と最新の AI 技術が結びつくことで、人類史上においてかつてないほど強力な兵器が生み出されるリスクがある」と指摘。そして業界内の自主規制だけでは不十分であり、どのような安全対策や監督体制が必要か、政治家や法執行機関が積極的に議論に加わるべきだとした。具体的には、大規模被害(サイバー攻撃、生物兵器攻撃、銀行口座システムの強制停止など)が現実化する前に、安全装置(Safeguard/Kill Switch)の構築・導入や監視体制(Monitoring System)の運用など、強力な統制措置を法的義務として定めるべきと主張する。

②現実化しつつある AI の暴走・悪用(個人情報漏洩)

2026年10月10日付の日本経済新聞社記事によれば、9月以降の1か月余り(特に10月初旬)の極めて短期間に世界各国(企業・政府機関・教育機関)で不正アクセスが急増、少なくとも延べ3億人超の個人情報漏洩が確認されている。このうち日本では延べ5700万人分の流出が明らかで、世界で判明した10万人以上の個人情報漏洩事例35件のうち日本の事例が20件と、日本を標的とした攻撃が目立つ。こうした事例件数の急増や新たな攻撃手法(自動化・効率化でコストを下げ同時多発的に展開される無差別・大量攻撃)の背景には AI の悪用の可能性が指摘され、最新の高性能 AI は犯罪者らにとっても使用が容易になってきている。AI は世界中のウェブサイト情報を学習しており、ウェブ上での調査を得意とするためウェブシステムを攻撃しやすい。とりわけ、顧客の大切な資産を預かり運用する銀行・証券・保険などの「金融機関」、また電力・情報通信・公共交通・医療施設などの「インフラ分野」においては、顧客情報の漏洩はその件数の多寡によらず、当該顧客とその日常生活への危機に直結する。

連日続いているこうした異様な同時多発的攻撃が、人間の手を離れた AI による「自律的」(Autonomous)なものであるかは今のところ断言できないとされる。核(原子力)をはじめとする20世紀以降の科学技術開発、特にこの数十年間「攻撃」と「防御」で堂々巡り(いたちごっこ)の IT(Information Technology)分野(新興技術)。筆者はこうした Technology の「脅威」の真理は、発生後の「対策」を繰り返す以前に、過去にこれらを生み出してしまった人間の本性に帰着すると思慮する。『ターミネーター』において、敵味方の登場人物が未来と過去を行き来して事態の解決を企てるように。

※参考文献

栗原聡(編著)『AI の倫理 人間との信頼関係を創れるか』、KADOKAWA、2026年
ニュートンプレス『別冊 AI 時代の哲学(Newton 別冊)』、ニュートンプレス、2026年
品川哲彦『倫理学入門―アリストテレスから生殖技術、AI まで』、中央公論新社、2020年

著者プロフィール

有田 仁(Jin Arita)

1966年(昭和・丙午)大阪府堺市生まれ。有田アセットマネジメント代表取締役。大阪工業大学大学院 知的財産研究科修了。NTT(日本電信電話)グループ・髙島屋等勤務。NTT研究所系教授陣に師事し研究発表(国際標準化専攻)。米国系業界団体(米国商工会議所・Cloud Security Alliance 等)の運営・イベント企画に関与。

出雲国・松江藩(雲州松平家)とその出身者に所縁あり(昭和改元時の宰相・若槻禮次郎、および大正期の東京弁護士会会長・岸清一)。座右の銘は「温故知新」と「古今東西」、「和魂洋才」と「清濁併吞」。

著書に『平成・令和社会への違和感と伝統的価値観の復古』(幻冬舎 2026年)。研究論文に『自動運転システムにおけるクラウドネットワークの通信遅延条件(共著)』(日本知財学会 2016年)『クラウドセキュリティ技術分野の知的財産戦略に関する研究』(大阪工大院・紀要 2016年)『クラウドセキュリティ技術に関する特許出願傾向と特性』(電子情報通信学会 2015年)等。

時論カテゴリー

時論人気記事

時論関連記事

PAGETOP
ページトップヘ