株式会社有田アセットマネジメント|知的財産(無形資産)と伝統的価値観を次代へ継承

06-6131-7514 9:00 ~ 18:00(平日)

お問い合わせはこちら

時論

宗教・信仰 地域・郷土 教育・家族 歴史・価値観

⭐【第132回】「秋の彼岸」/「仏法」と「煩悩」解脱への希求《中篇》―鉢峯山「法道寺」/空鉢仙人「飛鉢の法」(ひはつのほう)と宙を飛ぶ米俵―

※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。

(執筆中)

「秋の彼岸」中日(ちゅうにち)の9月23日(秋分の日)、筆者は10年前当時にまだ心身とも壮健であった母と初詣に訪れた、大阪府堺市南区の「法道寺」(ほうどうじ)を再び参詣した。法道寺食堂・多宝塔 堺市 「鉢ヶ峯霊園(堺公園墓地)」内に建つ法道寺は、7世紀中頃に天智天皇の勅願により法道仙人、別名・空鉢(からはち)仙人が開創したとされる高野山真言宗の寺院である。空鉢仙人は天竺(インド)から渡来したとされる。山号は鉢峯山、本尊(金堂)は薬師如来。当初の名は閑谷院長福寺(かんこくいん・ちょうふくじ)といい多数の塔頭寺院を要した。空鉢仙人が行じたと伝えられる「飛鉢の法」(ひはつのほう)は、法力で空(から)の鉢を自在に飛ばして布施(米俵)を得た説話をいう。鉢は「三衣一鉢(さんねいっぱつ)」すなわち出家者が最低限所有を許されたもの(下衣・上衣・大衣および鉢)の一つで、「托鉢」(たくはつ)で施しを受けるための木や鉄で作られた容器であった。

こうした説話で最も知られるものとして、「日本三大絵巻」の一つ、国宝『信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)上巻・山崎長者ノ巻』がある。 国宝 信貴山縁起絵巻 - 奈良国立博物館 これは、毘沙門天王(びしゃもんてんのう)の聖地として聖徳太子により創建されたと伝えられる奈良の「信貴山朝護孫子寺」(しぎさん・ちょうごそんしじ)が舞台である。その中興の祖である命蓮(みょうれん)上人が修行の際、山城の国(現在の京都府)の山崎に住む長者に向けて鉄鉢で托鉢を行った。その長者は昔、信貴山の毘沙門天王の御利益を得ていた。しかし長者は幾たびも行われる托鉢に対してこれを拒み、鉄鉢を米倉に鍵をかけてしまい込んだ。ところが、その鉄鉢が米倉ごと乗せたまま宙に舞い上がり、命蓮上人のいる山へと飛び去ってしまう。これを見て改心し、命蓮上人のもとへやってきた長者が米倉を返してほしいと頼むと、米俵を乗せた鉢が長者の家へと還っていくというもの。

この説話は、平安時代後期の公卿・儒学者、大江匡房(おおえのまさふさ)が著した『本朝神仙伝(ほんちょうしんせんでん)』において、白山(はくさん)開山の祖である泰澄大師(たいちょうだいし)が、仙道(せんどう)を学び飛鉢の法を行じた話とも繋がる。加賀と越中にまたがる医王山(いおうぜん)に四十八の寺を建てた大師が、その弟子とともに、琵琶湖を往く船に托鉢のため鉄鉢を飛ばし米俵を求めた。しかし船頭(役人)の神部浄定(かんべの・きよさだ)が、朝廷へ納める年貢であるとしてこれを拒み、鉢を海へ投げ捨てた。すると鉢は宙へ舞い上がり、その鉢を追って船中の米俵が悉く宙に舞い上がり、雁(かり)の群れが飛ぶように医王山に飛び去ってしまうというもの。これを見て改心し、神部浄定が大師に帰依すると米俵は再び船に還ったという。

⇩中門(ちゅうもん)、金剛力士像(阿形・吽形)は鎌倉時代の造像で堺市指定有形文化財

⇩金堂(こんどう)

⇩食堂(じきどう)、鎌倉時代後期に建てられ僧侶が法会の際に食事などを行った建物で、国の重要文化財に指定

⇩多宝塔(たほうとう)、南北朝時代中期に建てられた建物で、国の重要文化財に指定

⇧⇩塔の前には紅色の花が残る「さるすべり」(百日紅)の大木と母(当時)、さるすべりはその名の通り開花期間の長さ(7月~10月)が特徴であることから「長寿」の象徴

⇩太子堂(たいしどう)、「四国八十八ヶ所霊場お砂踏み」の碑と母(当時)

著者プロフィール

有田 仁(Jin Arita)

1966年(昭和・丙午)大阪府堺市生まれ。有田アセットマネジメント代表取締役。大阪工業大学大学院 知的財産研究科修了。NTT(日本電信電話)グループ・髙島屋等勤務。NTT研究所系教授陣に師事し研究発表(国際標準化専攻)および米国系業界団体(米国商工会議所・Cloud Security Alliance 等)の運営やイベント企画に関与。出雲国・松江藩(雲州松平家)とその出身者である昭和改元時の宰相・若槻禮次郎、および大正期の東京弁護士会会長・岸清一に所縁あり。座右の銘は「温故知新」「和魂洋才」「古今東西」。

著書に『平成・令和社会への違和感と伝統的価値観の復古』(幻冬舎 2026年)。研究論文に『自動運転システムにおけるクラウドネットワークの通信遅延条件(共著)』(日本知財学会 2016年)『クラウドセキュリティ技術分野の知的財産戦略に関する研究』(大阪工大院・紀要 2016年)『クラウドセキュリティ技術に関する特許出願傾向と特性』(電子情報通信学会 2015年)等。

時論カテゴリー

時論人気記事

時論関連記事

PAGETOP
ページトップヘ