【第123回】「皇位継承」「皇族数確保」問題の本質/「皇統」(Imperial Lineage)の重み《其ノ二》―明治民法と「家父長制」(Patriarchy)の瓦解―
⇧京都市上京区「京都御苑情報館」内の「京都御苑」を再現した diorama、右奥が「京都御所」(禁裏御所)
※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。
「皇位継承」「皇族数確保」問題とは、皇室において天皇の位を継承する資格を持つ皇族が不足または不在になる可能性があることを受けたもの。これに関連して、「皇室典範」 皇室典範 | e-Gov 法令検索 の改正、「旧宮家の皇籍復帰」(「傍系」との養子縁組)、「男系男子」の護持、また「女系天皇」「夫婦別姓」の是非などの論点が連日国会で論議されている。
「家父長制」(かふちょうせい/Patriarchy)とは、父系の家族制度において家長が絶対的な家長権によって家族員を支配・統率する家族形態である。またこのような原理に基づく社会の支配形態をいう。「父権制」ともいわれる。すなわち家族に対する秩序が、家父長である年長の男性のもつ専制的な権力によって支配される制度である。日本では、武家社会(封建社会)を中心に親子間の規範秩序が形成されたが、これは古く儒教(儒家思想)の影響を強く受けたものである。家父長制家族では、家父長が財産および妻子や奴隷に対して絶対的権力を有した。これは歴史的に見ても日本に限るものではなく、西洋では古代ローマ、ゲルマン民族(独・仏・英)、東洋では中国が家父長制の代表とされる。


⇧「建礼門」(けんれいもん)は禁裏御所の南面正門で、天皇・皇后と外国元首など国賓のみが通ることのできる最も格式の高い門
こうした歴史や観念を通じ、明治政府によって家父長的家族制度を理念とする「家」を基盤にし、「天皇」と「臣民」との関係を父子関係に擬制させる家族国家観が形成された。すなわち家父長制の理念を国家に援用し、家父長としての「君主」が支配権を専有することで、子である「国民(民衆)」を支配するという政治的支配体制としての性格をもっていた。1871年(明治4年)制定の「戸籍法」を受けた「明治民法」(明治29年・31年) 民法 - 法令データベース では、戸主を家長とする「戸主権」と「長子相続制」(長男単独相続)による「家督相続」を基本とした「家制度」が整備された。しかし大東亜戦争敗北を受け、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部=米国)による占領とその支配を受けた民法改正の下に、日本の家制度(家父長制)は解体された。
明治民法は、第一編「總則」第二編「物權」第三編「債權」からなる財産法(明治29年法律)、および第四編「親族」第五編「相續」からなる家族法(明治31年法律)の5編で編成されている。以下はこのうち家族法を取上げた、名古屋大学大学院法学研究科「日本研究のための歴史情報」 民法 - 法令データベース を基に筆者作成。


以下は「明治民法」における「戸主権」と「家制度」に関する主な規定。


⇧東京都渋谷区代々木の「明治神宮」本殿・境内
また、国内最大の先祖調査会社「家樹株式会社」様の解説記事(家系図の森)も参照する。
※参考文献
安倍晋三『美しい国へ』、文藝春秋、2006年
安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』、文藝春秋、2013年
安倍晋三(著)・橋本五郎(聞き手)・尾山宏(聞き手・構成)・北村滋(監修)『安倍晋三 回顧録』、中央公論新社、2023年
中央公論新社 ノンフィクション編集部『『安倍晋三 回顧録』公式副読本 安倍元首相が語らなかった本当のこと』、中央公論新社、2023年






