【第122回】「皇位継承」「皇族数確保」問題の本質/「皇統」(Imperial Lineage)の重み《其ノ一》―家名存続の仕来りと「傍系」への系譜拡張―
⇧「東京国立博物館 本館」収蔵品の「鳳輦(ほうれん)」(孝明天皇の遷幸や明治天皇の行幸に際して座乗された専用の乗物)
※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。
「皇位継承」「皇族数確保」問題とは、皇室において天皇の位を継承する資格を持つ皇族が不足または不在になる可能性があることを受けたもの。これに関連して、「皇室典範」 皇室典範 | e-Gov 法令検索 の改正、「旧宮家の皇籍復帰」(「傍系」との養子縁組)、「男系男子」の護持、また「女系天皇」「夫婦別姓」の是非などの論点が連日国会で論議されている。
先週末(2026年7月4日)に建国250周年を迎えた白人中心の「新興」人工国家・米国。欧州各国の移民たちが新大陸(東部)に渡り、先住民(黄色人種)から公然と人命財産を収奪して西部への領土拡張を繰り返し、またアフリカ大陸から奴隷労働力として黒人を売買・強制連行して形成・発展した彼の国。そこでは欧州における王侯貴族を排することが国是であり、建国当初は共和制(民主制ではない)が採用された。さて、これに対して日本では、古(いにしえ)より二千年余、現代の価値尺度ではおよそ捉えきれない、万世一系の畏怖すべき「皇統」(Imperial Lineage)の重みが存する。一方で、大東亜戦争後の GHQ(連合国軍最高司令官総司令部=米国)による占領とその支配を受けた憲法(個人の尊厳)の下に八十年が過ぎた。しかし(欧州同様に)日本は歴史上、国民(日本民族)を統治・統合する精神的支柱=高位階級(天皇、公家、将軍、大名等)の家名(血筋)存続という大義、およびそのための仕来り(しきたり)を綿々と有してきた。それはとりわけ、直近わずか三十年程の行き過ぎたリベラル思想を価値基準とした「善悪の彼岸」にあるものと筆者は考える。もとより皇位の継承は、「民主制」すなわち国民による「選挙(=多数決)」を経るものとは次元を異にする。
そもそもなぜ、皇族数確保という問題が特に平成・令和期に入って俄かに顕在化してきたのか。戦後の GHQ による圧力で、伏見宮系11宮家の51名が皇籍離脱(臣籍降下)を余儀なくされたことが大きい。11宮家とは、伏見宮(ふしみのみや)・閑院宮(かんいんのみや)・山階宮(やましなのみや)・北白川宮(きたしらかわのみや)・梨本宮(なしもとのみや)・久邇宮(くにのみや)・賀陽宮(かやのみや)・東伏見宮(ひがしふしみのみや)・朝香宮(あさかのみや)・竹田宮(たけだのみや)・東久邇宮(ひがしくにのみや)である。もとより皇統の長い歴史を見ると、「直系男子」が途絶えた際には「傍系」から天皇を迎えてきた。以下は大正期以降現在の皇室に比して、近世・近代(江戸~明治期)の朝廷における「正室(皇后)・側室(典侍等)」と「皇嗣(こうし/Crown Prince)」(次代の天皇の生母)「子女数」の状況を他意なく示すものである。※データは精査中

近世において徳川家は、幕府政権の正当性と権威を高めるために朝廷との縁組を進めた。以下は幕府における「正室(御台所)・側室」と「次期将軍の生母」「子女数」の状況を他意なく示すものである。「直系男子」が途絶えた際には「傍系」から将軍を迎えた点は朝廷と異ならない。※データは精査中

また、国内最大の先祖調査会社「家樹株式会社」様の解説記事(家系図の森)も参照する。
※参考文献
安倍晋三『美しい国へ』、文藝春秋、2006年
安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』、文藝春秋、2013年
安倍晋三(著)・橋本五郎(聞き手)・尾山宏(聞き手・構成)・北村滋(監修)『安倍晋三 回顧録』、中央公論新社、2023年
中央公論新社 ノンフィクション編集部『『安倍晋三 回顧録』公式副読本 安倍元首相が語らなかった本当のこと』、中央公論新社、2023年







