【第125回】気候変動(地球温暖化・異常気象)《其ノ三・後篇》「エルニーニョ」(El Niño)と「積乱雲」(Cumulonimbus)の発生機序
※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。

(執筆中)
気象庁 気象庁 | エルニーニョ/ラニーニャ現象とは によると、「エルニーニョ」(El Niño)とは、太平洋赤道域の日付変更線(経度180度)付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象は「ラニーニャ」(La Niña)と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生する。El Niño や La Niña は、日本を含め世界中の異常な天候の要因となりうると考えられている。
具体的な機序は次の通りである。太平洋の熱帯域では「貿易風」と呼ばれる東風が常に吹いているため、海面付近の暖かい海水が太平洋の西側(インドネシア近海)に吹き寄せられている。西部(インドネシア近海)では海面下数百mまでの表層に暖かい海水が蓄積し、東部の南米沖では、この東風と地球の自転の効果によって深いところから冷たい海水が海面近くに湧き上っている。このため海面水温は太平洋赤道域の西部(インドネシア近海)で高く、東部(南米沖)で低くなっている。海面水温の高い太平洋西部(インドネシア近海)では海面からの蒸発が盛んで、大気中に大量の水蒸気が供給され、上空で「積乱雲」(入道雲/Cumulonimbus)が盛んに発生する。
こうした常態に対し El Niño が発生している年には、東風が平常時よりも弱くなり、西部(インドネシア近海)に溜まっていた暖かい海水が東方へ広がるとともに、東部(南米沖)では冷たい水の湧き上りが弱まる。このため、太平洋赤道域の中部から東部(南米沖)では、海面水温が平常時よりも高くなっている。すなわち El Niño 発生時は、積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東方へ移る。これに影響を受ける日本の天候(夏季)の特徴として以下の傾向(一般的に冷夏傾向)がみられる。 気象庁 | エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴
平均気温:西日本で低い傾向、北・東日本で並か低い傾向
降水量:西日本の日本海側で多い傾向
日照時間:北日本の日本海側で少ない傾向、東日本の日本海側で並か少ない傾向

⇧筆者宅上空の様子、2026年(令和8年)8月4日時点
ところで今夏は空を見上げると、ここ数年でみられた、険しい山脈のように空一面に何層にも湧き立つ「異形」の積乱雲が今のところ見られない。空の一角に若干発生している日であっても、その色は薄っすらとして猛々しさが見られない(筆者認識、於・大阪)。気象庁 積乱雲って どんな雲? | 気象庁 や国立研究開発法人 防災科学技術研究所 積雲・積乱雲について|雲レーダー観測による積雲分布(東京周辺) の説明によると、積乱雲とは強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲である。雲の高さは10㎞を超え、時には成層圏まで達する。一つの積乱雲の水平方向の広がりは数㎞~十数㎞。一つの積乱雲がもたらす現象は、30分~1時間程度で局地的な範囲に限られる。
積乱雲は「大気の状態が不安定」な気象条件で発生しやすくなるが、これは上空に冷たい空気があり、地上には温められた空気の層がある状態をいう。温かい空気は上へ昇り、冷たい空気は下へ降りようとするため対流が起きやすくなる。地上付近の空気が湿っている(湿度が高い)時は、さらに大気の状態が不安定となり、積乱雲が発達しやすくなる。また大雨・ひょう・落雷・ダウンバースト・竜巻など、気象災害のほとんどは発達した積乱雲が原因である。今夏は今のところ、突発的豪雨や激しい落雷がほとんどない(筆者認識、於・大阪)。さしずめ今夏の「地上の空気」や「大気の状態」はここ数年に比較してやや安定しているといえそうか。

⇧【定点比較】筆者宅上空の様子、2025年(令和7年)8月28日時点

※参考文献
環境省「熱中症予防情報サイト」環境省熱中症予防情報サイト
厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」 熱中症予防のための情報・資料サイト | 厚生労働省
一般社団法人 日本気象協会「熱中症ゼロへ」 熱中症ゼロへ - 日本気象協会推進




