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【第72回】高値期す「辰巳(たつみ)天井」《其ノ三》―日米株価「史上最高値」更新/日経平均(225種)ダウ平均(30種)連日続伸(2025年8‐10月)―

⇧1年1か月振りの史上最高値更新を示す「大阪取引所」株価ボード、2025年(令和7年)8月12日撮影

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する(および過去所属した)組織の公式見解を示すものではありません。

2025年(令和7年)8月12日(盆期間の3連休明け)東京株式市場で、「日経平均株価」(Nikkei Stock Average)の終値は前営業日比897円69銭(2.15%)高となる4万2718円17銭と急騰。2024年(令和6年)7月11日に付けた4万2224円02銭を上回り、1年1か月振りに史上最高値を更新した。「大阪取引所」(Osaka Exchange)株価ボードは、225銘柄のうち8割近くで前日比増を示す赤色に染まった。

投資家の買いの動きが広がった要因としては次の通り。日米関税交渉の合意や協議の進展が楽観視されたこと、国内主要企業の2025年度第一四半期(4〜6月期)決算発表で好決算が評価されたこと、また米中関税引き上げ停止措置の90日間延長が好感されたこと等が挙げられる。さらに円安の進行(8月12日時点で1ドル=148円前半で取引)も、輸出企業の業績拡大への期待を強めたといえる。

【後日追記】8月15日朝方、内閣府発表の2025年4〜6月期国内総生産(GDP)速報は、実質 GDP 成長率(前期比)が0.3%(年率換算で1.0%)と堅調な推移を示した。 国民経済計算(GDP統計) : 経済社会総合研究所 - 内閣府 。また FRB(連邦準備制度理事会)の大幅な利下げ観測後退により、円安ドル高が進行し輸出関連株が買われた。これらを受け株価は堅調に続伸。同日の終値は4万3378円31銭と同週内で高値を更新、翌週18日終値で4万3714円31銭。さらに9月に入っても連日の続伸で高値更新し節目の4万5千円台を超え、25日終値では4万5754円93銭をつける。

【後日追記】10月に入っても政局の変化が影響して大幅に続伸、9日の終値で4万8580円44銭と高値更新が続く。

上記は、2023年(令和5年)以降の「日経平均株価」月別推移である。日経平均プロフィル「ヒストリカルデータ」 ヒストリカルデータ - 日経平均プロフィル を基に筆者作成。値(円)は各月の最高値。

また同日のニューヨーク株式市場では、関税政策の価格転嫁を通じた物価上昇(Inflation)圧力への過度の警戒感が和らぎ、FRB による利下げへの期待から買いが広がった。「ダウ平均株価」(Dow Jones Industrial AverageDJIA前日比480ドルあまりの大幅高。さらに同日発表された7月「消費者物価指数」(Consumer Price IndexCPI)が概ね市場の想定通りであったことで、投資家の間では FRB が9月にも利下げを再開するとの観測が一段と強まった。

上記は、同様に2023年以降の「ダウ平均株価」月別推移である。Investing.com NYダウ平均株価 過去のレート - Investing.com を基に筆者作成。値(米ドル)は各月の最高値。

【後日追記】2025年8月22日「ダウ平均株価」の終値は前営業日比846.24ドル(1.89%)高となる4万5631.74ドルと急騰。2024年12月4日に付けた4万5073.63ドルを上回り、8か月振りに史上最高値を更新した。8月21日~23日の日程で開催中の「ジャクソンホール会議」(Jackson Hole Economic Symposium) Jackson Hole Economic Symposium - Federal Reserve Bank of Kansas City (kansascityfed.org)FRB の Jerome Powell 議長が22日の講演で、労働市場(雇用情勢)のリスクに重点を移し、利下げを正当化する可能性に言及。この発言を受け投資家の間に利下げ再開への期待が高まり、買いに対する強気姿勢を促した。その後も、8月28日に4万5636.90ドルと高値を更新。

【後日追記】翌9月9日、「労働省労働統計局」(U.S. Bureau of Labor Statistics) U.S. Bureau of Labor Statistics : U.S. Bureau of Labor Statistics による雇用統計の年次改定(2025年3月時点)で年間就業者数の大幅下方修正が入り、労働市場の減速が示された。これを受けて FRB による利下げへの期待感が続く中で買い注文が優勢となり、同日の終値は4万5711.34ドルに。さらに11日発表の8月 CPI がほぼ市場予想通りの内容であったこと、また新規失業保険申請件数が増加し労働市場の減速が鮮明になったことで、FRB の利下げ観測が一段と強まった。これを受けて同日終値で4万6108.00ドルをつけた。さらに連日の続伸で、30日終値で4万6397.89ドルと高値更新が続く。

【後日追記】10月に入っても続伸し、3日の終値で4万6758.28ドルと高値更新が続く。

本年1月の米国第二次 Donald Trump 政権発足以降、自国第一主義に基づく経済・金融・通商および強硬な関税政策による市場への影響が強く懸念されてきた。しかし米国経済は、関税政策による価格転嫁を通じた物価上昇(Inflation)懸念を払拭し、ダウ平均株価は今月の史上最高値更新をみるに至っている。また日本経済においても、こうした対米摩擦の高まりに拘わらず、昨年からの「辰巳天井」といわれる株価上昇基調を維持し、今月の史上最高値更新をみた。

⇧日経平均225銘柄のうち8割近くで前日比増

⇧出来高上位銘柄(プライム市場)※出来高とは売買取引が成立した株式数

⇧五代没後140年特別展示「五代友厚と大阪取引所」、1階アトリウム(2025/8/1~2025/10/13)および5階 OSE ギャラリー(2025/8/5~2025/11/21)にて開催 五代没後140年特別展示 | 日本取引所グループ

※参考文献

専門分野解説タスクフォース『米国トランプ政権の関税政策 要点解説2025』、2025年
木内登英『トランプ貿易戦争:日本を揺るがす米中衝突』、日本経済新聞出版社、2018年

著者プロフィール

有田 仁(Jin Arita)

1966年(昭和・丙午)睦月、大阪府堺市生まれの Ultra Generation。有田アセットマネジメント代表取締役、投資家、著述家。大阪工業大学大学院 知的財産研究科修了。NTT グループ(情報通信)・髙島屋(百貨店)等、三十年余の企業勤務で「修身」に努む。その傍ら大所へ活動の場を求め、知的財産分野の学術研究・学会発表等「表現」の世界へ。さらに米国関連団体(在日米国商工会議所・クラウドセキュリティアライアンス日本支部等)の「公務」に従事。

世界三大墳墓・仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥古墳群近傍に生を受け、外祖母の先祖は江戸初期より代々、雲州松江藩(松平家)に禄を食む。天皇大権と元老制度が存した昭和改元時の宰相で、重臣として昭和天皇を輔弼した若槻男爵は遠い姻戚。連載コラム「時論」では社会の諸相を週次で論じ、還暦間近の己(おのれ)の人生を総決算。外祖母の遺した家風そして日本(対欧米)の歴史観・伝統的価値観の視座で、平成・令和社会への違和感を問う。座右の銘は「温故知新」「和魂洋才」「古今東西」。

欧州とりわけドイツに親しみ、英語とピアノ・バイオリンが生き甲斐の母。この1年半は脳神経学博士(Wolf)とともに介護(Dementia)に専心。施設に持ち込んだ電子ピアノの鍵盤に、母の十指を沿わせ音楽療法に光明を見出す。互いに目を合わせ言葉をかけ肌に触れ、母と五感で接する幼少期以来の日々に、悦びを覚える己に気付く。

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