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【第38回】「大阪・梅田」地区再開発《其ノ三》―梅田スカイビル(Umeda Sky Building)の再評価と積水ハウス株式会社―

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織の公式見解を示すものではありません。

①うめきた2期地区再開発と梅田スカイビルの再評価

「梅田スカイビル」(Umeda Sky Building) 【公式】梅田スカイビル・空中庭園展望台 はバブル崩壊後にあたる1993年(平成5年)に竣工。地上40階・地下2階建ての超高層ビル2棟(タワーイースト、タワーウエスト)を、最上部の「空中庭園展望台」で連結させた先鋭的な建築で知られています。同ビルは建設技術においても画期的な試みがなされ、展望台の基本的な部分を地上で組み立てた後、ワイヤーで釣り上げて地上150~173mという高所で固定するリフトアップ工法を世界で初めて採用。事業主は「積水ハウス株式会社」 【公式】家・住まいのことなら積水ハウス|住宅・ハウスメーカー 他、管理・運営は「積水ハウス梅田オペレーション株式会社」 積水ハウス梅田オペレーション株式会社 コーポレートサイト。設計は、建築家・東京大学名誉教授の原広司(はらひろし)氏(および「アトリエ・ファイ建築研究所」)他が担当しています。「積水ハウス株式会社」はまた、「グラングリーン大阪」 (グラングリーン大阪 | GRAND GREEN OSAKA (umekita.com)) の開発事業者の一つとして、「三菱地所株式会社」を代表企業とする共同企業体(JV:Joint Venture)を構成しています。

「梅田スカイビル」の主用途はオフィスや商業施設であり、「ドイツ総領事館」 大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館 - Auswärtiges Amt (タワーイースト35階)および「メキシコ名誉領事館」(タワーイースト23階が入居しています。また「梅田スカイビル」と「ウェスティンホテル大阪」 梅田のラグジュアリーホテル | ウェスティンホテル大阪 を中心として、複合施設「新梅田シティ」を構成しています。

「梅田スカイビル」(新梅田シティ)の立地は、JR 大阪駅や阪急梅田地区の繁華街との間に、JR 西日本の「梅田貨物駅」や「梅田貨物線」(JR 東海道線支線)の広大な跡地を挟む形でした。そのため、同ビルへの連絡経路は長く延びる地下道のみという、利便性の悪さが長らく入場者数低迷の障壁となってきました。今回(本年9月)、うめきた2期地区再開発「グラングリーン大阪」の先行開業、および「JR 東海道線支線」の地下化と新駅(地下)設置に伴い、ようやく状況は一変し、来場者の回遊性が一気に高まる形となりました。すなわち「グラングリーン大阪」を中央に配して、各施設が連絡橋や通路で直結。西側に「梅田スカイビル」(新梅田シティ)、東側に「グランフロント大阪」「JR 大阪駅(ルクア大阪)」、そして南側に7月31日に開業したばかりの「KITTE大阪/JPタワー大阪」「イノゲート大阪」が拡がります。

この様に、大阪・梅田地区(うめきた・うめにし)は、この数十年間の再開発によって、ようやく「点」から「線」を経て、極めて広大な「面」としての様相を呈することとなりました。また一体性のある「みどり」(Green)と「イノベーション」(Innovation)の融合拠点として、新たな価値を得た様に思われます。またそれと同時に、来年4月に開催の「2025年日本国際博覧会(Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan)」 EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト に合わせ、「梅田スカイビル」(新梅田シティ)へのさらなる入場者数増加と再評価が期待できるものと思われます。

⇧「梅田スカイビル」遠景、(写真左上)グランフロント大阪・うめきた広場から展望、(写真右上・下)グラングリーン大阪からの昼夜の展望

⇧「梅田スカイビル」(空中庭園展望台 )、2019年(令和元年)9月撮影

⇧「梅田スカイビル」設計提案時の模型、2019年(令和元年)9月撮影

⇧「ドイツ総領事館」(タワーイースト35階)

⇧1階広場「ワンダースクエア」、「ドイツ総領事館」主催によるクリスマスマーケットの様子

⇧1993年(平成5年)のビル開業以来、地下1階に独自の魅力を醸し続ける、「古き良き」昭和初期の町並みを再現した食堂街「滝見小路」 レトロ食堂街 滝見小路

②訪日客数年間累計が過去最多を記録(2019年を超過)

「梅田スカイビル」はまた、主に「空中庭園展望台」を対象として、従来より訪日客(外国人)に人気の名所として知られてきました。同展望台の年間入場者数は開業3年目以降は漸減に向かうも、2015年(平成27年)に開業翌年の年間入場者数(108万人)を上回り121万人を記録。入場者数が上昇に転じた理由として、2008年(平成20年)に英国 The Times 紙の「世界の建築トップ20」に選出されたこと、また2013年(平成25年)に「グランフロント大阪」が開業し JR 大阪駅北側への人の流れが増加したことが挙げられます。

なお、概ね2022年(令和4年)以降続く円安(week yen)基調の為替レート(exchange rate)の動きは、2024年(令和6年)とりわけ今春以降の訪日客数(Number of Foreign Visitor to Japan)の増加に拍車をかけています。直近11月の訪⽇客数(推計値)は3,187,000、前年同月⽐では30.6%増、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年(令和元年)同月⽐でも30.5%増となり、10か月連続で同月過去最高を記録しました。また、11月までの累計では33,799,892人となり、2019 年(令和元年)の年間累計を早や上回り過去最多となりました。また中身を見ると、1月からの累計では、23市場のうち5市場(韓国、香港、インドネシア、ベトナム、フランス)が11月時点で過去最高を更新し、これまでに計16 市場が累計での過去最高を記録しています 。

下記グラフは、「日本政府観光局」(JNTO:Japan National Tourism Organization、正式名称:独⽴⾏政法⼈ 国際観光振興機構)の統計(訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局))を基に筆者作成。

③積水ハウス株式会社と House Builder 業界

「積水ハウス株式会社」は、関西を地盤(本社:大阪市北区)とした所謂(いわゆる)「ハウスメーカー」(英:House Builder)で、1960年(昭和35年)8月に、「積水化学工業株式会社積水化学工業株式会社 のハウス事業部が「積水ハウス産業株式会社」として独立。社史を遡ると「日窒(にっちつ)財閥」をその源流としています。「日窒財閥」は、野口遵(したがう)氏によって設立された「日本窒素肥料」(現・「チッソ株式会社/JNC 株式会社」JNC株式会社ホームページ)を中心とする財閥です。

「積水ハウス株式会社」の「シャーメゾン」(Sha Maisonシャーメゾン|シャーメゾンとは は、「戸建住宅」レベルの品質と住み心地を提供する「賃貸住宅」です。筆者は去る12月12日開催の「賃貸住宅経営 実例見学会」(於:大阪府堺市内) 賃貸住宅経営のイベントのご案内 | 全国のイベント(住宅展示場・注文住宅・分譲地/建売)のご案内 | 積水ハウス に参加、専門スタッフ(宅地建物取引士)から丁寧かつ貴重な物件説明を受けることができました。「シャーメゾン」は、外壁や天井、床など建物全体に断熱材を敷きつめ、夏は涼しく冬は暖かい、冷暖房効率に優れた快適な住まいを実現しています。また各住戸のプライバシーに配慮し、日常生活で特に気になる上下階や隣戸間の生活音に加えて外部からの騒音も軽減、確実性のある遮音対策を施しています。

⇧(写真左上)「積水ハウス株式会社 本社受付」(梅田スカイビル・タワーイースト9階)、(写真右上)「積水ハウス不動産関西株式会社 本社受付」(タワーウエスト25階)、(写真下)12月12日開催「(シャーメゾン)賃貸住宅経営 実例見学会」の様子(於:大阪府堺市北区百舌鳥梅北町)

House Builder は、日本国内全域または広範囲の規模で展開する住宅建設会社に対する呼称です。同市場で「積水ハウス株式会社」と双璧を成す「大和ハウス工業株式会社」 大和ハウス工業オフィシャルサイト (本社:大阪市北区)は現在、大阪ダイヤモンド地区(大阪市北区梅田一丁目の通称)において、2030年(令和12年)の開業予定として「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」 「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」本格始動|大和ハウス工業のリリース|会社情報 About Us|大和ハウス工業 の取り組みを進めています。

「大阪マルビル」は、日本初の円筒形超高層ビルとして1976年(昭和51年)に竣工、大阪の landmark として長らく親しまれてきました。このたび同社は、建物・設備の老朽化や周辺施設との競争力低下を捉え、より質の高い商品・サービスを提供するため建て替えを決定。本年9月に地上部分の解体を完工しました。これにより、ホテルやオフィス、コンサートホール・舞台、商業施設など、多種多様な用途の複合施設を新設する計画となっています。また(筆者にとっても愛着のある)建物頂部の「回る電光掲示板」の継承に向けて、うめきたを含む大阪駅周辺からも視認できるデザインを検討するとしています。「回る電光掲示板」は、天気予報、時刻、気温、地震、津波などの情報を発信していました。社は本プロジェクトが大阪の新たな landmark として、地域に根差し人々に愛される施設となるべく推進するとしています。

⇧在りし日の「大阪マルビル」、低層階が蔦(つた)で覆われる様(さま)が特徴的、隣接するのは「梅田 DT タワー」(※1)、2022年(令和4年)4月撮影

(※1)梅田 DT タワー:NTTNippon Telegraph and Telephone Corporation/日本電信電話株式会社)グループ(筆者も二十年来勤仕)が入居、設計施工は「株式会社竹中工務店」

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