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【第6回】「大阪・梅田」地区再開発《其ノ一》―うめきた2期地区「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」―

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織の公式見解を示すものではありません。

※写真は2024年(令和6年)9月6日に先行まちびらき(開業)した「サウスパーク」の様子(9月11日撮影)

大阪市北区の「うめきた地区」を訪れました。向学のため当社海外渉外顧問(無償)の Wolf(筆者内縁)を帯同しました。大阪市Webサイト(大阪市:うめきた(大阪駅北地区)プロジェクト (…>住まい・まちづくり>うめきた(大阪駅北地区)のまちづくり) (osaka.lg.jp)))の説明によると、「うめきた地区」とは<旧梅田貨物駅にあたる約24万平米の区域を指し、鉄道4社7駅が乗り入れ、1日約240万人が行きかう西日本最大のターミナルエリアに位置します。>とあります。

これまでの開発過程として、<このポテンシャルを活かし、大阪、関西の発展をけん引し日本の国際競争力を強化する新たな拠点として2002年から開発が始動しました。うめきた地区は先行開発区域(グランフロント大阪)と2期区域(グラングリーン大阪)とに分けられます。先行開発区域(グランフロント大阪)は2013年のまちびらき以来、梅田の新たな顔として多くの市民に親しまれています。>とあり、今後について<2期区域では2024年9月6日(金)の先行まちびらきに向け開発が進められているほか、新駅設置をはじめ数々の都市基盤整備事業も同時に行われており、うめきた地区周辺の道路交通の円滑化や交通事故の解消も期待されています。>とあります。

「グラングリーン大阪」(GRAND GREEN OSAKA)(グラングリーン大阪 | GRAND GREEN OSAKA (umekita.com))は、「三菱地所株式会社」を代表企業として、「大阪ガス都市開発株式会社」「オリックス不動産株式会社」「関電不動産開発株式会社」「積水ハウス株式会社」「株式会社竹中工務店」「阪急電鉄株式会社」「三菱地所レジデンス株式会社」「うめきた開発特定目的会社(株式会社大林組による出資)」の9社からなる共同企業体(JV:joint venture)が、開発事業者に選定されています。また設計監理は「株式会社日建設計」が担っています。<参考>「グラングリーン大阪」ウェブサイト(PROJECT | GRAND GREEN OSAKA (umekita.com)

このうち「三菱地所株式会社三菱地所|人を、想う力。街を、想う力。 (mec.co.jp))は、「三菱グループ」(旧:三菱財閥)の中核企業の一角を占める総合不動産会社。1890年(明治23年)、旧「三菱社」社長の「岩崎彌之助公」が明治政府から東京「丸の内」一帯を買い受けて順次開発・建設が進められ、1937年(昭和12年)旧「三菱合資会社」の建築課業務一切を引き継ぐ形で「三菱地所株式会社」が分離独立。現在では東京駅一帯に「株式会社三菱UFJ銀行」「三菱商事株式会社」「三菱重工業株式会社」など、「三菱グループ」主要各社の本社ビルを含む多くのオフィスビルを保有しています。1989年(平成元年)の米国ロックフェラー・センター(Rockefeller Center)の買収劇でも夙に(つとに)知られています。同社はまた、2013年(平成25年)4月開業のうめきた1期地区「グランフロント大阪」の再開発事業も主導しています。

※出典:「三菱地所株式会社」(三菱地所の歩み | 三菱地所 (mec.co.jp)

また「株式会社日建設計」NIKKEN SEKKEI LTD | EXPERIENCE, INTEGRATED)は、建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を行うプロフェッショナル・サービス・ファームです。同社の歴史を紐解くに、「長谷部・竹腰建築事務所」は建築の設計監督を業とし、関東大震災に続く昭和金融恐慌に伴い「住友合資会社」が1933年(昭和8年)に工作部を廃止した直後、同部長の長谷部鋭吉(はせべえいきち)氏と同部建築課長の竹腰健造(たけこしけんぞう)氏により創立されました。これが現在の「株式会社日建設計」の源流にあたります。現在では国内外に数多の実績を有する我が国を代表する建築設計事務所で、代表的なものの一つに、1935年(昭和10年)竣工の「⼤阪株式取引所市場館」(現:大阪取引所)の設計プロジェクト(「長谷部・竹腰建築事務所」による)<参考>(【第17回】未曽有の高値更新―「大阪証券取引所」所縁(ゆかり)の地<3/4>―「市場館 立会場」―篇 | 株式会社有田アセットマネジメント|無形資産・有形資産を適切に管理、運用、保全し、次代へ安全に継承する資産管理会社 (aam.properties))があります。同社はまた、2013年(平成25年)4月開業のうめきた1期地区「グランフロント大阪」の設計監理も担っています。

※出典:「株式会社日建設計」(ヒストリー | About | NIKKEN SEKKEI LTD

この「グラングリーン大阪」のオープン時期や区域の詳細は複数の段階に分かれており、下表の通り整理しました。

「グラングリーン大阪」公式Webサイトによると、そのコンセプトとして<「グリーン」という名前が表す“みどり”には、公園を中心として生まれる「自然と都市の融合」というテーマに加え、多様な人が集い、出会い、お互いの個性を生かし合うことで、いくつもの可能性を解放させ、ここで過ごす時間を積み重ねるほどに新しい世界を広げてもらいたいという想いが込められています。とあります。またPRムービーの中で、<ごちゃまぜって、イノベーションだ。>(大阪らしく全部融合させたい)と肯定的に謳われています。一般的に「ごちゃまぜ」=「いろいろな物が無秩序に入りまじっている様子」と理解されます。ここで「ごちゃまぜ」=「融合」=「大阪的」といった捉え方の如何はともかくとして、「ごちゃまぜ」=「イノベーション」(新結合)の解釈は、「異質性」(Heterogeneity)の取り込みを肯定した、斬新で力強く建設的なものに感じ取れます。

⇧東側に位置する1期区域の「グランフロント大阪」北館9階「テラスガーデン」から「グラングリーン大阪」の全景を撮影、(写真左)「南街区」と「うめきた公園サウスパーク」、(写真右)「北街区」と「うめきた公園ノースパーク」、遠景右手に「梅田スカイビル」(新梅田シティ)

こうして高い地点から全景を望むと、1期区域の「グランフロント大阪」のタワー群が「直線」的に配置されているのに対し、2期区域の「グラングリーン大阪」の都市公園や街区は緩やかな「曲線」を描く様に設計されており、1期・2期の区域全体として、こうした対比の妙を狙った構成意図を感じます。

⇧【後日追記】2024年(令和6年)9月6日、先行まちびらき(開業)後の全景(9月11日撮影)

今回の「うめきた2期地区」先行まちびらき(開業)により、「グラングリーン大阪」を中央にして西側の「梅田スカイビル」(新梅田シティ)、東側の「グランフロント大阪」「JR大阪駅(ルクア大阪)」、そして南側に7月31日に開業したばかりの「KITTE大阪/JPタワー大阪」や「イノゲート大阪」が連絡橋や通路で直結、来場者の回遊性が一気に高まる形となりました。この様に大阪・梅田地区(うめきた・うめにし)はこの数十年間の再開発により、ようやく「点」から「線」を経て、極めて広大な「面」としての様相を呈し、一体性ある「みどり」(Green)と「イノベーション」(Innovation)の融合拠点として魅力を増した様に思われます。

⇧【後日追記】2024年(令和6年)9月6日、先行まちびらき(開業)後の「サウスパーク」の様子(9月11日撮影)

大屋根イベントスペース「ロートハートスクエアうめきた」(写真上)や広大な芝生広場に水遊びのできる噴水(写真下)、また壮大に延びる歩行者デッキ「ひらめきの道」(写真中段右)などが整備され、この日、涼を求める多くの家族連れや訪日観光客などで賑わいました。遠景に、ヒルトンホテルグループの「Canopy by Hilton」や中核機能施設「JAM BASE」が入る「北街区」ノースタワーが窺えます。(写真中段左)

⇧【後日追記】「サウスパーク」、夜間の景観(9月15日撮影)

⇧ヒルトンホテルグループの「Canopy by Hilton」や、中核機能施設「JAM BASE」が入る「北街区」ノースタワーと周辺の様子(写真左)、「梅田スカイビル」(新梅田シティ)方面から望むノースタワー、左手に建設中のビルは分譲棟「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」、右手には「グランフロント大阪」のタワー群(写真右)

⇧【後日追記】2024年(令和6年)9月6日、先行まちびらき(開業)後の「北街区」ノースタワーと周辺の様子(9月11日撮影)

⇧【後日追記】「北街区」ノースタワーと周辺、夜間の景観、「Canopy by Hilton」1階のBean there, UMEDA 」へWolfを帯同(9月15日撮影)

⇧「グランフロント大阪」<北館/南館間>の道路から直結となる、「グラングリーン大阪」<うめきた公園ノースパーク/サウスパーク間>の道路とその上に架かる歩行者デッキ「ひらめきの道」(遠景)

⇧「グランフロント大阪」南館「 せせらぎテラス」内のアート展示プロジェクト「ART SCRAMBLE」、写真は「一般社団法人 シガラキ・シェア・スタジオ」所属の西條茜氏による作品『Rebecca/レベッカ』、遠景に望むのは「グラングリーン大阪」ノースタワー(右上)

同氏による作品コンセプト(全文)を紹介します。<グランフロント大阪のある大阪駅周辺は人と人、地域と地域をつなぐ関西の心臓部とも言えるエリアです。地下にも地上にも血管のように張り巡らされた道をたくさんの人が行き交い、血液のようにエネルギーが循環し増幅し続けるこの街は、まるで1つの巨大な生命体のようでもあります。 「Rebecca/レベッカ」と名付けた本作は陶磁器製の彫刻作品です。粘土を一本一本紐状にして積み上げて作ったこの有機的な造形の内部には水が循環しています。そしてその姿は今この瞬間も動き続けている「都市としての生命体」を体現しているかのようです。しかし一日のうち数回、この水の循環は止まり、レベッカはありのままの姿を見せます。私たちヒトという生命体が日々の活動のために休息したり、時には立ち止まることで自分自身を省みるように、レベッカも静/動を繰り返しながら今日もせせらぎ広場に立っています。>

「大阪」「都市」「血液」「エネルギー」「循環」「巨大な生命体」といったキーワードとともに、本作品の強烈な印象は筆者に「2025年大阪・関西万博」の公式ロゴマークおよび公式キャラクターの「ミャクミャク」を想起させました(筆者個人の印象)。まさに良い意味での「得体の知れない凄み」や「深遠な面妖さ」を感じさせます(「2025年大阪・関西万博」のロゴマークはかねてより筆者に、大阪中心部を「循環」する「JR大阪環状線」の路線図を想起させます)。筆者には、その内部で「水」の「循環」する、陶磁器製の「青緑色」が美しい本作品が、「グラングリーン大阪」のまちびらき(開業)後のイメージと、同コンセプトである<ごちゃまぜって、イノベーションだ。>を、いち早く体現するものとして強く予見させます。

⇧「グランフロント大阪・うめきた広場」方面から、停泊船をイメージした「うめきたSHIP」越しに望む、「南街区」タワー群のアングルがさらに印象的

⇧「南街区」方面に位置し、去る3月に早や開業1周年を迎えた「JR大阪駅(うめきたエリア)」と「うめきた地下口」の様子、(右下)実証実験で導入された「顔認証改札機」

⇧「イノゲート大阪(Inogate Osaka)」(イノゲート大阪 (osakastationcity.com))はJR大阪駅の新駅ビル、同ビル内の飲食店舗「バルチカ03」と合わせて、2024年(令和6年)7月31日開業予定

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