<重要>【第121回】LEXUS のマーケティング・ブランディング戦略と欧州(ドイツ)車への対峙―LEXUS ES 新型モデル販売開始(2026年6月11日)―
※本稿内容は筆者の個人的見解であり、筆者所属組織(現在および過去)の公式見解を示すものではありません。
(執筆中)
梅雨前線を刺激したダブル台風一過の週末、筆者は大阪府貝塚市の販売店「LEXUS 貝塚」 LEXUS > 販売店検索 > レクサス貝塚 を定期点検のため訪れた。店内展示スペース前面には、本年6月11日に販売開始されたばかりのセダン上位車種「LEXUS ES」の新型モデルがお目見え。 LEXUS、新型「ES」を発売 | レクサス | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

⇧LEXUS ES350e 新型モデル外観
以下はメーカー希望小売価格。


⇧販売店「LEXUS 貝塚」Reception(受付)に立つ筆者

⇧筆者所有の現行型 LEXUS ES、Brand Identity を訴求する「Spindle Grille」および「Daytime Running Light」
LEXUS LEXUS は、「トヨタ自動車株式会社」が1989年(平成元年)より展開する、富裕層をターゲット顧客とした、日本を代表する高級車ブランド(Luxury Automobile Brand)。ブランド名称である LEXUS の由来として、ドイツ語 Luxus(「贅沢」の意)からの造語、とする一説がある。LEXUS は「究極の品質」と「おもてなしの接客」により、先行展開された米国市場で短期間(10年)のうちに販売台数1位の高級車ブランドとなった。その後、2005年(平成17年)に日本市場で販売開始。並行して欧州、中近東、中国にも導入を進め、2010年(平成22年)以降は、外観(Front Grille)の統一デザイン「Spindle Grille」の導入など、ブランドポジショニングの大胆な変更を実施している。この「Spindle」は「紡錘」(糸巻)の意をもち、(奇しくも)同社の祖業である「株式会社豊田(とよだ)自動織機製作所」に通じるといえよう。また鋭角のL字形意匠が際立つLED 「昼間走行灯」(Daytime Running Light)が、Brand Identity を鮮やかに訴求している。
これらは「トヨタ自動車株式会社」により知的財産(意匠)として保護されている。特許庁の情報プラットフォーム「J-PlatPat」(特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp))で検索すると、「Spindle Grille」について、「意匠に係る物品:乗用自動車(フロントグリル周辺部)」として、また「Daytime Running Light」について、「意匠に係る物品:自動車用フロントコンビネーションランプ」として各々意匠登録されている。なお LEXUS のロゴ(文字列)とマーク(大文字の「L」を内包する楕円)について、称呼「レクサス」として商標登録されている。
氏は、「トヨタ自動車株式会社」 トヨタ自動車WEBサイト レクサスインターナショナル・ブランドマネジメント部長を経て、現在は「A.T. Marketing Solution」 A.T. マーケティングソリューション高田 敦史のTOPページ|A.T. Marketing Solution 代表を務めている。以下は同氏による LEXUS のマーケティング戦略についての言及である。
■ 高級車市場のブランドポジショニングで、欧州(ドイツ)車 Mercedes-Benz の「Quality」、BMW の「Sporty」に対し、LEXUS は「過剰(なまでの)品質」(Excessive Quality)と「顧客満足」(CS:Customer Satisfaction)の位置付け。
■ 広告戦略において、LS、ES など個別の車種は打ち出さずに LEXUS ブランドのみを訴求、また華美な女性モデルを用いることなく品質の高さを巧みかつ情緒的に表現。
■ コーポレートブランド(企業名:TOYOTA)を訴求せず単独で強力なブランド(LEXUS)でありながら、影でコーポレートブランドの価値向上に貢献(Shadow Branding)。
■ McDonald's を事例とした「純粋想起」「ブランド連想」の要素。
また同氏はその著作(論文)『自動車業界におけるラグジュアリーブランド戦略』において、欧州の伝統的な高級車ブランドに競合する LEXUS ブランドのポジショニングと米国市場での成功について、以下の様に捉えている。
■ Prestige(名声・品格)を低下させることなく(排他性と希少価値を維持しつつ)、ブランド認知度と売上拡大を達成するという、「Luxury Brand のパラドックス」を解決(二律双生)しえたこと。
■ 欧州高級車ブランドのもつ特性「歴史・伝統・出自(生産地)」「芸術的な職人技」「花形デザイナーの存在」等に代替しうる、「先進的なモノづくり」や「顧客視点の重視」「顧客体験の創造」をブランド展開の基軸としたこと。
■ 権威主義的(伝統的な価値観)な既存の高級車よりも、機能性を重視し合理的で高品質な日本車を受け入れる世代層をターゲット顧客としたこと。
■ 「Traditional Luxury」に対して、新たに「Smart Luxury」のブランド属性を構築したこと。
筆者も十年来の LEXUS OWNER および Lexus Owner's Card Holder として、大阪府内の販売店(Car Dealership)「LEXUS 貝塚」またトヨタファイナンシャルサービス株式会社より、新車提案や定期点検また LEXUS FINANCIAL SERVICES など、上質で広範なサービスを受けている。LEXUS 販売店(日本国内)の店舗は内装素材等について細かく規定の上、店舗規模毎にデザインが標準化されており、建設費用は通常のトヨタ店舗の3倍ともいわれている。
さらに、その店頭接客サービスは百貨店や高級ホテルのそれにも通じ、「小笠原流礼法」(おがさわらりゅうれいほう)(※1) 小笠原流礼法宗家本部オフィシャルサイト に基づく独自の接客マナーが徹底されている。LEXUS では、「モノ」(究極の品質をもつ LEXUS 車の販売)のみならず、「コト」(おもてなしの接客を通した顧客満足の提供)を含めて、販売店を「Branding Spot」と位置付ける製販一体の取り組みが特筆される。
(※1)小笠原流礼法:清和源氏を祖とする小笠原氏により制定、武家故実から出た礼儀作法の一派で室町時代に足利義満公の指南を務めた小笠原長秀公が「三議一統」を編纂、江戸時代には徳川将軍家「お止め流」として一子相伝
※参考文献
髙田敦史『自動車業界におけるラグジュアリーブランド戦略』 pdf02.pdf 、中央大学大学院 戦略経営研究科、2018年
髙田敦史『45歳の壁 55歳の谷―自分らしく「勝つ!」サラリーマンのための6つのシナリオ』、高陵社書店、2023年






