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【第81回】「2025年大阪・関西万博」挿話《其ノ五》―会期総括と訪日外国人(Foreign Visitor to Japan)の来訪状況―

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する(および過去所属した)組織の公式見解を示すものではありません。

(執筆中)

「2025年大阪・関西万博」は、2025年(令和7年)4月13日から10月13日までの184日間、大阪市此花区は大阪北港地区の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催の国際博覧会。日本での国際博覧会(登録博)開催は、2005年(平成17年)「愛知万博」(略称)以来20年ぶり、3回目であり、また大阪での開催としては1970年(昭和45年)「大阪万博」(略称)以来、実に55年ぶり、2回目となる。さらに直近では、2021年(令和3年)「東京オリンピック」以来の国家プロジェクトとなる。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、海外から160か国・地域、9国際機関(欧州連合、国際連合など)が参加する。

日本国際博覧会協会は10月7日、大阪・関西万博の運営収支が230億~280億円の黒字になる見通しと発表した。気象庁の発表によれば、今夏は6〜8月の国内平均気温が平年より2.36度高く、統計開始(1898年)以降で最高を記録した。膨張する建設費や低調な前評判、件の記録的猛暑による外出控え懸念を覆し、来場客数は尻上がりに増加し2500万人を突破。新型コロナウイルス感染対策で1年延期の上に無観客開催を余儀なくされた、東京オリンピックの空虚さを払拭し、連日の賑わいを見せ大きな成功を収めた。

こうした夏季を避け、筆者は閉幕間近の10月10日夕刻、再び「2025年大阪・関西万博」を訪れた。向学のため当社海外渉外顧問の Wolf を帯同した。この日の一般来場者数は約20万7000人を数え、開幕初日(4月13日)のほぼ倍にあたる盛況であった。会場内は国内外から万来の人々をかき分け、真っ直ぐ歩くにも難儀する状況。今回も残念ながら、いずれのパビリオン入館も果たせず(度重なる事前抽選への落選と当日入館待ち時間:概ね90分前後の長蛇の列)、特徴的な建築物外観の鑑賞に終始。しかしながら今回は、虫の音が響く秋の夜の万博会場を散策し、花火や「ウォータープラザ」における「光と炎の演出」を鑑賞することができた。

⇧「ウォータープラザ」で最高潮を魅せる「光と炎の演出」(アオと夜の虹のパレード

①年間4000万人超えが視野に入る訪日外国人

2012年(平成24年)12月発足の第二次安倍晋三政権による「観光立国」国家戦略(観光立国推進閣僚会議 (kantei.go.jp))は、以下4つの重点分野をとりまとめた「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」として推進された。

(1)日本ブランドの作り上げと発信
(2)Visa 要件の緩和等による訪日旅行の促進
(3)外国人旅行者の受入の改善
(4)国際会議等(MICE:Meeting・Incentive Travel・Convention・Exhibition/Event)の誘致や投資の促進

これらの施策により、2019年(令和元年)まで順当に成果を収めてきたが、2020年(令和2年)頃から感染拡大した新型コロナウイルスによる停滞を余儀なくされた。これは、「日本政府観光局」(JNTO:Japan National Tourism Organization、正式名称:独⽴⾏政法⼈ 国際観光振興機構)の統計(訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局))でも明らかだ(下記グラフ参照/同局統計を基に筆者作成)。しかしながら、概ね2022年(令和4年)以降続く円安(week yen)基調の為替レート(exchange rate)の動きは、2024年(令和6年)以降の訪日客数(Number of Foreign Visitor to Japan)の回復(増加)に拍車をかけている。また2023年(令和5年)3月に策定された「第4次観光⽴国推進基本計画」 001743148.pdf では、以下3つの柱が示されるとともに、旅⾏消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられている。

(1)持続可能な観光
(2)消費額拡大
(3)地方誘客促進

直近の2025年(令和7年)8月の訪⽇客数(推計値)は3,428,000人、前年同月⽐では16.9%増。継続的な訪⽇旅⾏の人気に加え、前月に引き続き東アジアや欧米豪・中東を中心に多くの市場で、子供たちの School Holidays学期間の長期休暇)に合わせた訪⽇需要の高まりがみられた。これらにより、東アジアでは中国、台湾、東南アジアではインドネシア、ベトナム、欧米豪では米国、ドイツを中心に訪⽇外客数が増加したことが押し上げ要因となった。

2025年(令和7年)の訪日客数は年間4000万人超えが視野に入ってきている。日本人にとっては、国内に居ながらにして多様な外国人に接することができ、他国文化の理解や相互交流、外国語の習得などに適した環境がいっそう整ってきたといえよう。

②地域別外国人実態調査

(執筆中)

日本政策投資銀行 関西支店の「2025年大阪・関西万博 外国人訪問者の意向調査 第2回速報」 2025年大阪・関西万博外国人訪問者の意向調査 第2回速報 における、訪日外国人の万博会場への来訪実態調査データを引用・紹介する。当レポートは、万博開催期間中(2025年9月1日~12日までのうち10日間)、JR 桜島駅にて万博訪問予定または訪問経験のある訪日外国人(回答者数:255人)を対象に実施した、万博や訪日旅行の意向に関するアンケート調査の速報結果をまとめたもの。これは、調査結果の一部を6月調査結果(第1回速報)と比較し速報として公表されたものである。※『出所:日本政策投資銀行』、「大阪・関西万博訪問者」は訪問予定者を含む、(左記を基に筆者作成の上、後日グラフ掲載)

①大阪・関西万博訪問者の国籍

・9月調査では、6月調査と比較して東アジアの比率が高くなっている(49.0%)。
・9月調査の国籍を地域別にみると、東アジア(49.0%)、欧州(20.0%)、北米豪(14.5%)の順に比率が高い。東アジア地域では、中国と台湾が同率(20.4%)で最も多く、次いで香港(7.5%)、韓国(0.8%)の順となっている。

② 大阪・関西万博訪問者の出入国空港

・9月調査では、6月調査と比較して入国港・出国港ともに「関西国際空港」の利用割合が高くなっている。
・また、6月調査と同様に「関西国際空港」、「東京国際空港」、「成田国際空港」の順に多く、3空港で出入国の90%以上を占める状況。

③ 大阪・関西万博訪問者の府内訪問地

・9月調査では、6月調査からトップ3は変わらず、「道頓堀」(56.5%)、「ユニバーサルスタジオ」(40.4%)、「大阪城」(39.6%)の順で多く、さらに「道頓堀」、「大阪城」は比率が高くなった。また、6月調査と比較して「万博以外は訪問していない」は減少した(13.3%)。
・9月調査の国籍割合では、「日本橋」、「通天閣」、「海遊館」、「あべのハルカス」では東アジアが70%を超えている。

④ 大阪・関西万博訪問者の国内訪問地

・9月調査では、6月調査とトップ4は変わらず、「京都」(50.6%)、「関東」(30.6%)、「奈良」(23.9%)、「兵庫」(8.2%)の順で多かった。6月調査と比較して、奈良・中部・九州・北海道・四国・沖縄・滋賀・「大阪以外は訪問していない」は比率が高くなった。
・9月調査の国籍割合では、「京都」、「奈良」では東アジア、「関東」では欧州出身者の回答がそれぞれ最も比率が高かった。

⑤ 大阪・関西万博訪問者に人気のシグネチャーパビリオン

・9月調査では、6月調査と同様に、「いのちを拡げる」(16.9%)、「いのちを響き合わせる」(13.7%)の比率が高かった。6月調査とは異なり、次いで比率が高いのは「いのちを育む」(8.2%)であった。
・9月調査の国籍割合では、「いのちを拡げる」、「いのちを響き合わせる」、「いのちを磨く」、「いのちを知る」、「いのちを高める」ではそれぞれ東アジア出身者が50%を超えて高かった。

⑥ 大阪・関西万博訪問者に人気の国内パビリオン

・9月調査では、6月調査と同様に、「日本館」(43.5%)の比率が圧倒的に高かった。次いで「大阪ヘルスケアパビリオン」と「TECH WORLD」(同率の11.0%)がトップ3に入っている。
・9月調査の国籍割合では、多数のパビリオンにおいて東アジアの割合が過半数を占めているところ、「BLUE OCEAN DOME」は東アジアより北米豪出身者の比率が高かった。

⑦ 大阪・関西万博訪問者に人気の未来社会ショーケース

・9月調査では、6月調査と同様に、「バーチャル万博~バーチャル会場~」(7.8%)の比率が高かった。6月調査とは異なり、次いで比率が高いのは「来場者向けパーソナルエージェント」(6.3%)であった。

⑧ 大阪・関西万博訪問者に人気の海外パビリオン

・9月調査では、6月調査と同様に、「アメリカ合衆国」(16.9%)、「オーストラリア連邦」(14.9%)の比率が高かった。6月調査とは異なり、次いで比率が高いのは「イタリア共和国」(11.4%)であった。

⑨ 大阪・関西万博訪問者に人気のイベント

・9月調査では、6月調査と同様に、「One World, One Planet.」(14.5%)の比率が高かった。6月調査とは異なり、次いで比率が高いのは「アオと夜の虹のパレード」(5.5%)、「Physical Twin Symphony」(3.5%)となった。

⑩ 大阪・関西万博訪問者に注目されている技術

・9月調査では、6月調査と同様に、「未来の都市」(41.2%)、「スマートモビリティ」(40.8%)、「日本の文化」(38.0%)、「アート(水上ショーなど)」(37.3%)の比率が高かった。6月調査とは異なり、次いで比率が高いのは、「バーチャル展示」(26.7%)、「デジタル」(25.1%)となった。

⑪ 大阪・関西万博訪問者の日本への再訪意向

・日本への再訪意向は、「また来たい」が93.3%、「どちらともいえない」が5.9%、「また来たいとは思わない」が0.8%となっている。

著者プロフィール

有田 仁(Jin Arita)

1966年(昭和・丙午)睦月、大阪府堺市生まれの Ultra Generation。有田アセットマネジメント代表取締役、投資家、著述家。大阪工業大学大学院 知的財産研究科修了。NTT グループ(情報通信)・髙島屋(百貨店)等、三十年余の企業勤務で「修身」に努む。その傍ら大所へ活動の場を求め、知的財産分野の学術研究・学会発表等「表現」の世界へ。さらに米国関連団体(在日米国商工会議所・クラウドセキュリティアライアンス日本支部等)の「公務」に従事。

世界三大墳墓・仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥古墳群近傍に生を受け、外祖母の先祖は江戸初期より代々、雲州松江藩(松平家)に禄を食む。天皇大権と元老制度が存した昭和改元時の宰相で、重臣として昭和天皇を輔弼した若槻男爵は遠い姻戚。連載コラム「時論」では社会の諸相を週次で論じ、還暦間近の己(おのれ)の人生を総決算。外祖母の遺した家風そして日本(対欧米)の歴史観・伝統的価値観の視座で、平成・令和社会への違和感を問う。座右の銘は「温故知新」「和魂洋才」「古今東西」。

欧州とりわけドイツに親しみ、英語とピアノ・バイオリンが生き甲斐の母。この1年半は脳神経学博士(Wolf)とともに介護(Dementia)に専心。施設に持ち込んだ電子ピアノの鍵盤に、母の十指を沿わせ音楽療法に光明を見出す。互いに目を合わせ言葉をかけ肌に触れ、母と五感で接する幼少期以来の日々に、悦びを覚える己に気付く。

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