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【第61回】NTT(Nippon Telegraph and Telephone)《其ノ五》外圧誘起の「再統合」と「時価総額」(Market Cap)顧慮―第40回定時株主総会―

※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織の公式見解を示すものではありません。

⇧総会開始前、会場入口付近の様子

⇧総会終了後、会場出口付近の様子

①第40回定時株主総会の概括

(執筆中)

2025年(令和7年)も株主総会の季節到来。6月19日(木)、梅雨入りしたばかりと思えない盛夏並みの酷暑の中、日本電信電話株式会社(NTT:Nippon Telegraph and Telephone CorporationNTT / NTTグループ | 日本電信電話株式会社 グループ(筆者も二十年来勤仕)開催「第40回定時株主総会」(The 40th Shareholders' Meeting)に出席した。会場は恒例の、東京都港区は「グランドプリンスホテル新高輪」国際館パミール3階「崑崙(こんろん)」。午前9時の受付開始までに長蛇の列ができるなど、本会場は1,638人(前年比361人増)の来場株主の熱気で包まれた(オンライン視聴株主数は7,632人)。

今回も昨年以上に議事が充実。会社提案の第1号議案から第8号議案、株主提案(3名)の第9号議案から第18号議案の計18に及んだ。そうした中、株主質問も10件を超える活発な様相をみせて議事は議案採決へ進行。午前10時より約1時間半に及ぶ総会は終了した。株主質問の中から一部を紹介する。

・【株主質問】NTT 株価上昇がみられず長らく揉み合いを脱しない状況で、海外からの株式公開買付(TOBTake-Over Bid)も懸念される。⇒【廣井孝史副社長】NTT データの統合など Global 事業拡大により局面打開を図る。(関連質問に対して)【島田社長】株主数は2025年(令和7年)3月末で国内最大の268万人となっている。
・【株主質問】在宅勤務の推進を継続する意義はいかがか。⇒【廣井孝史副社長】地域に居住したまま都市部業務に従事できる利点が挙げられる。【島田社長】地域貢献としては「大阪・関西万博」NTT パビリオン運営への社員従事事例などもある。
・【株主質問】「京都哲学研究所」 京都哲学研究所 の設立後、約2年になるが、現在の取り組み状況はいかがか。⇒【澤田純会長】インド、アフリカ、欧州、米国など海外有識者との交流が大きく進んでいる。本年9月には第1回となる「京都会議」を開催予定であり、哲学界と産業界をつなぐ試みとして期待している。

NTT は今回、1985年(昭和60年)の民営化、1988年(昭和63年)の NTT データ分社化、1991年(平成3年)の NTT ドコモ分社化、そして1999年(平成11年)の持ち株会社移行とグループ分割以降、幾多の紆余曲折と毀誉褒貶また組織再編を経て、ようやく悲願のグループ「再統合」を果たした。2020年(令和2年)には NTT ドコモを、2025年(令和7年)には NTT データを統合・完全子会社化し「親子上場」を解消。この背景には澤田純前社長時代に端を発す、海外の競合勢力、特に米国 GAFAM(※1)への対抗上「強く大きな巨人 NTT」復活による「海外事業・国際競争力強化」が優先された事情がある。すなわち「外圧脅威による変化」への市場環境要請が、従前より前面に打ち出されてきた「国内の公正競争担保」の論理を凌駕するに至ったといえる。まさに「黒船」効果である。

(※1)GAFAM:世界市場において支配的な影響力とデファクト標準を握る米国巨大 IT 企業5社の頭字語Acronym)⇒Google Inc.(現:Alphabet Inc.)、Apple Inc.Facebook, Inc.(現:Meta Platforms, Inc.)、Amazon.com, Inc.Microsoft Corporation

⇧招集通知と議決権行使書

筆者は、「第2号議案:定款一部変更の件(NTT 株式会社への商号の変更および監査等委員会設置会社への移行等)」について敢えて反対票を投じた。新商号と英文表記は「NTT 株式会社」(NTT, Inc.)である。今回の商号(社名)変更で、ロゴマーク「ダイナミックループ」および「NTT」(略語/Abbreviation)の継続、またその書体と色調を見直すことは、ブランディング・マーケティング戦略の観点から当然の判断と考える。1985年(昭和60年)民営化以降の40年間で、これに足る国際認知度は向上している。しかし「Global 事業拡大と国際競争力強化」を旨として、これまで併記の正式社名「日本電信電話」(Nippon Telegraph and Telephone)を遺さないとの考え方に筆者は不本意である。

「電信」「電話」が時代に即さないとの考え方に異論はない。しかし「日本電信電話公社」(電電公社)時代からの歴史と由緒ある表記を置き去り、どこか「無機的」な印象を受ける Alphabet 略語(のみ)の正式社名化に違和感を覚える。母国語であり一字ずつ「意味」をもつ漢字表記の「日本電信電話」を遺さないのであれば、せめて英語であっても「NTT」 の3文字が何を意味するのか、事業内容が何なのかを判別できる縁(よすが)が欲しい。すなわち、現行の「Nippon Telegraph and Telephone」から、例えば「Nippon Technology and Telecommunication」など、現在の事業実態に即した正式社名に移行の上で略語併記が望ましいと考える。

②NTT グループと GAFAM/時価総額の変遷

(執筆中)

「(株式)時価総額」(Market Capitalization)とは、個別上場企業の「株価」に「発行済株式数」を乗じた数値。株式市場における企業価値や規模を評価する際の指標・尺度である

■NTT グループ時価総額推移(出典:Companies Market Cap 統計) 

■GAFAM との比較 

NTT の時価総額は、1989年(平成元年)に1639億 USD と2位以下を圧倒する規模で世界トップに位置した。(出典:The Business Week Global 1000/1989年7月17日号)その後35年を経て、2024年(令和6年)では833億 USD と半減している。(出典:Companies Market Cap 統計)片や GAFAM の筆頭 Apple 社のそれは、同年3.9兆 USD NTT の実に50倍近くにその差が開いている。まさに桁違いである。

※参考文献

堀越功『NTT の叛乱 ―「宿命を背負う巨人」は生まれ変わるか』、日経 BP、2024年(令和6年)
Companies Market Cap Companies ranked by Market Cap - CompaniesMarketCap.com

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