【第2回】ドイツ連邦共和国(Bundesrepublik Deutschland)挿話《其ノ一》―脳神経学博士(Ph.D. in Neurology)による認知症の学識―
※本稿の内容は筆者の個人的見解であり、筆者が所属する組織の公式見解を示すものではありません。
ドイツ連邦共和国(英:Federal Republic of Germany/独:Bundesrepublik Deutschland)(以下、「ドイツ」)は欧州の中央部に位置し、9か国と国境を接しています。人口は8,300万人超と欧州連合(以下、「EU」)加盟国中で最大であり、また面積は357,588 平方キロメートルとEU加盟国中で4番目に大きく、最も長い川はライン川(Rhein)で865 キロメートルを有します。同国は、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクとともに、6つのEU創設国の1つであり、現在では米国、中国、日本に次ぐ世界第4位(2023年時点)の経済大国(※1)として、EU加盟国中で最大の経済力を有しています。ドイツはまた歴史上、産業(自動車・化学・電機・医薬等)、科学技術/発明(物理・化学・数学・医薬・宇宙開発等)、哲学思想、芸術文化(クラシック音楽・文学・ベルリン国際映画祭等)などの極めて多分野にわたり、世界に傑出した民族性をもつ国として知られます。
(※1)2023年の「名目国内総生産」(GDP:Gross Domestic Product)で、ドイツは日本を抜いて世界3位へ
当社海外渉外顧問(無償)を務める Wolf(筆者内縁)が、中国(北京)出張から先週末(日本へ)帰国しました。「脳神経学」(Neurology)分野における博士(Ph.D.)、および「心理学」(Psychology)分野における修士(Master)の学位を有する彼女は、母国ドイツから数年前に来日。以降、言語や文化のまったく異なる極東の環境で日々研鑽に励む高度の専門家です。彼女はまた極めて献身的な人間的魅力に満ちた女性であり、その旺盛な好奇心と行動力により、主に欧州、アフリカ、中東、および東アジアへの現地視察に伴い、定期的に最新の知見を当社へもたらしています。
⇧これまでの現地視察出張からの帰国慰労会の様子
筆者は2024年(令和6年)より勤務先(NTTグループ)で介護休職を申請の上、母(要介護5)の在宅介護を続けています。母の症状(Symptom)で最も懸念されるものが「認知症」(Dementia)です。Wolfの極めて卓越した見識も参考に、「認知症」への向き合い方を考察しています。「厚生労働省」の定義(知っておきたい認知症の基本 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp))によると、「認知症」とは「様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態」とあります。また「認知症」を引き起こす最多のものは「アルツハイマー病」など、「海馬」(hippocampus/大脳側頭葉の内側にある部位)等の神経細胞に萎縮や、神経細胞の接点(synapse)を含めた減少がみられる、「神経変性疾患」と呼ばれる病気です。急激に高齢化が進む日本においては、「平均寿命」とともに「健康寿命」をいかに延ばすかが肝要との考え方に大いに首肯するところです。
筆者の母は偶然にも、英語の「chord」や「harmony」の日本語にあたる単語を名前にもち、若い時期に音楽と英語の教師でもありました。筆者にとって最大の驚きと救いは、母が生涯の趣味で生き甲斐でもある、ピアノ・バイオリンの演奏やコーラス、また英検受験や英会話レッスンについて、現在もその能力と意欲を失わずにいることです。「認知機能」(記憶、判断力など)と「感性」(絶対音感や語感など)の領域は機序が相違している様に感じられ、「音楽療法」や「芸術療法」などの方向性に、今後の一縷の望みを託す思いです。
⇧大変お世話になっている介護施設内の電子ピアノ
⇧【後日追記】介護・福祉業界も注目する、AI搭載の家族型ロボット「LOVOT」(らぼっと)、開発は「GROOVE X株式会社」、「ITシンポジウム/インフォテック2019」(於:大阪府立国際会議場/グランキューブ大阪)懇親会場でのデモの様子 ※2019年(令和元年)10月25日撮影
2023年(令和5年)7月現在、150以上の介護施設において「LOVOT」が導入され、入居者の認知機能低下の抑制に期待が寄せられています。「LOVOT」ウェブサイト(LOVOT NEWS)
⇧【後日追記】髙島屋大阪店西ゾーンB1階「Robotics Studio」で「LOVOT」展示販売の様子、ちびっこをもつ家族連れで盛況 ※2024年(令和6年)6月30日撮影
⇧【後日追記】「LOVOT」ストア(東京・丸の内ビルディング店)の外観、店内は訪日外国人で盛況 ※2024年(令和6年)9月30日撮影
※参考文献
『ドイツの現状 2023』(Tatsachen über Deutschland 2023)(2022_Tatsachen_JP (deutschland.de))、2023年版、ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(Deutsche Auslandsvertretungenin Japan)